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2007年06月26日

●デジタル・ディバイド

さて、今日帰宅する田園都市線の車中で、若者3人の会話を聞くとも無しに聞いていた。
高校生から専門学校・大学生位だろうか。まあ10代には間違いない。
マナーの悪さは・・・この際置いておこう。書いたら切りが無い。

で、最初はサーフィンの話や先輩の携帯の番号など、他愛のない話をしていたのだが
その中でズッコケそうになる会話の一節があった。

「え?それはiモードなの?それともiアプリ?」
「インターネットだからiモードでしょう。…云々。」
「インターネットってさ、情報を調べたり見たりできるんだよね、確か。」

…一体ここは西暦何年の日本なんだ?と耳を疑った。
95年にWindows 95+Internet Explorerがリリースされ幕を開けた「庶民のインターネット」。
それから僅か11年足らずで、人口で7,300万人以上、DSL以上の高速回線の世帯普及率が
41%を越えるところまで社会に浸透したインターネットは、
今やその辺のお店でも必要不可欠な業務ツールになっている。
ブログやプロフ・SNSの普及により、自らが情報発信する一般ユーザーも多いだろう。
99年に誕生したブラウザフォンは、今やDSLに匹敵する高速データ通信を定額で使えて、
そのMPUはWin98が登場した頃のノートPCのレベルにまで進化している。

そんな(少なくとも僕にとっては)日常となったインターネットを
概念レベルで会話する10代が、僕の隣の座席に居た。
これまで、僕の親以上の年代層と、地理的・経済的な理由で追従できなかった社会属性にのみ
存在するのだと思っていた「デジタル・ディバイド」が、10代の中にも起きていた。

正直言って既に大人になってしまった人々は、仕方ないし今後も何とかなるとは思う。
仕事人としてのキャリアはほぼ終章に向かっているだろうし、突然ネット環境を
使いこなさなければ立ち行かなくなる程の事態は起きるまい。

しかし、これから社会参加する10代が情報格差の谷間に落ち込むのは致命傷だと思う。
彼らが18 歳だと仮定し、ネットが普及し始めたのが6歳の頃。
悪名高きインパクe-Japan構想等の施策により、教育現場にWebが積極的に導入されたのが
11歳位の頃。神奈川に住んでいれば、おそらくDSL環境が整ったのも早いだろう。
それなのに、3人の青年達は「インターネットってのは…」と会話していたのだ!

今や就職活動もWebベース。業務はWebと切り離すことはほぼ不可能。
先日お会いした70代の経営者の方だって、SEOの重要性を理解していた。
恐らく、彼らが通った小学校や中学校にはPCルームがあり、今通っている学校には
Web完備の就職資料室があるだろう。

断定的な物言いは危険だが、彼らのデジタル・ディバイドは社会の所為では無いと思う。
彼らには環境があった。時間があった。それを推進する空気があった。あった筈だ。
嫌な言い方だが、比較的所得水準が高い世帯が多い東急沿線に居住していて、家庭にも
学校にもWeb環境が整備されていないなんてことは、ほぼ間違いなく無かっただろう。
と言うことは、彼らは自身の原因でデジタル・ディバイドの谷間に落ちたのだ。

今や僕らは、新社会人にMicrosoft Officeの使い方は教えない。
教えるとすればTips的な小技や、知っておいた方が便利な技術だけだろう。
ドキュメントさえ作成できない、Webによる情報収集も侭ならない彼らは
これからの長い人生の道程において、決定的なビハインドを背負ってしまったのではないだろうか?

所詮ヒトゴト、とは思えない。
これまでこのブログにも数度書いたが、情報こそが民主主義と生活の向上を推し進めるのだ。
情報から途絶されれば、いいように使われ、搾取され、それらへの対抗も出来ないのだ。
勝ち組とか負け組とか、そんなどうでもいい価値観に振り回されず、地に足を付けて歩むには
情報を貪欲に追い、その中に潜む可能性や自身の戦う武器を見つけ出すことが必要なのだ。

俺はちゃんと情報を得てるから、そんな奴らはほっといても大丈夫。というのも間違い。
社会的・経済的にスポイルされた層が増加すれば、社会の消費力は低下し、それに反比例して
社会保障コストの上昇は避けられない。幾らPCやWebが進化しても、総体としての
生産性の向上は望めなくなり、そのコストは一定以上の水準の階層にもヒットするのだ。

社会の二極分化が生んだ「未来に諦念を持つ若者達」をそのままにしてはいけない。
情報を得れば、階層の固着化を打破出来るという現代のチャンスを教えなければならない。
それは教育だけでなく、社会全体に課せられた使命なのだと僕は思う。

…なんだか随分大袈裟なエントリーになってしまったが
其れ位恐怖感を感じたトピックだったので。ではまた明日。