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2008年01月28日

●日曜の深夜は想い出を巡って。

s-penant.jpg
あの家はまだあるのだろうか。そしてあのペナント達は。

日曜の深夜は、昔のことを思い出すことが多い。
今日もふとしたことで、もう25年近くも昔のことを思い出していた。
僕が小学校高学年から中学生にかけての頃だ。

子供の頃から僕は、旅行が大好きだった。
そして旅行は僕にとって、非日常の最上に位置するものだった。
親父が出不精だったせいで家族旅行は殆どしたことがなく、たまに家族で出かけても
望まぬ外出に不機嫌になった親父と、それに気を遣いすぎて最後にキレるお袋の喧嘩が常で
家族旅行は憂鬱なだけだった。だから、家族の居ない旅が大好きだった。
また、特に小学校高学年以降の時期は、まさに我が家が崩壊する直前の暗い時期で、
より家族と切り離される数日間…という旅行は、日頃の緊張から解放される数少ない機会だった。

その頃、旅行に行く度に必ず買っていたのが「観光ペナント」。
もう若い人はその存在さえ知らないだろうなぁ。
親父とお袋には適当に饅頭でも買って、妹にはキーホルダー。
そして自分へのお土産に、各地の観光ペナントをいつも買っていた。
値段は…300円くらいだったかな。

大きくて、金色の房が回りに付いていて、観光地の名称とイラストが書かれたペナントは
まるでその地を踏破した証明書のようにキラキラして魅力的で。
大事に持って帰って、自室の鴨居の上辺りに貼っていき、それが増えるのを楽しみにしていた。

中学2年の夏に、訳あって夜逃げ同然で親父の実家に移り、一年ほど生活した。
親父は見る見るうちに堕落し、お袋は馴れない飛び込み営業の仕事でやつれていった。
九州の南。海鳴りで眠れないほどの田舎の漁師町は、都会っ子にはなかなか馴染めぬ土地で
14歳の視界には、家庭の事実関係はうっすらとしか見えず、言い知れぬ不安だけが募った。

そんな時、現実から僕の心を解放してくれたのが、部屋に貼ったペナントだった。
どこのペナントだったかなぁ…。
まあその頃の行動範囲だから、長崎や鹿児島・熊本。足を伸ばして広島とか四国だろう。
キラキラしたペナントは、楽しい旅の想い出に僕を誘って、僕はひと時の楽しい余韻を味わった。

それから程なくしてお袋と僕ら兄妹は親父を残して福岡に戻り
その後親父は行方が判らなくなった。
着の身着のままでにちりんに飛び乗ったような体たらくだったから、
ペナントは壁から剥がされることは無かった。そして僕はペナントを集めるのを止めた。

あれから22・3年経ったのか。
親父も居なくなり、祖父母も亡くなって(らしい)10年以上が経ち
あの海辺の小さな家はどうなったのだろう。
妹が大事にしていたピアノも、お袋が可愛がっていたぬいぐるみも、どうなったのだろう。
そして、あの頃の僕を静かに見守ってくれたペナント達はどうなったのだろう。

暖かい家庭と人生を懸けられる仕事を得て、自分の人生を存分に楽しめるようになった今でも
あの頃のことを思い出すと胸が痛くなり、云い様のない寂しさに覆われる。
あの狭い部屋で、形容できない息苦しさに耐えていた自分と家族に切なくなる。

孫のことを楽しげに語るお袋や、生まれたばかりの子どものことに一所懸命な妹は
あの頃のことを思い出す夜はあるのだろうか。
そして親父は…。

Webの海に想い出を探しに出てみたら、そんな記憶に行き着いた。
見てたサイトがまずかったかな(苦笑)

【今夜観ていたサイト】※僕の記憶は暗いけど、サイトは楽しいですよ(笑)
・廃墟デフレスパイラル
・ニッポン観光ペナント展示館