これは旅行の写真ではないのですが…20年以上前の夏の日の一枚。
暑い日が続いていますね。
…といっても、これを書いている7月20日の東京は寧ろ肌寒い一日だったのですが(笑)
昨日・一昨日は嫌になるほどの暑さでした。
そんな夏になると、一人旅がしたくなります。
学生時代から、「青春18きっぷ」を使って鈍行列車の旅をしたり
バイクでロングツーリングに出たり、或いは南の島でボーっとしたりと
夏はほぼ必ず、気ままに旅行していました。
ただ、年明けには第一子も誕生しますし
さすがに一人旅は簡単には出来なくなるでしょう。
そう考えるとこの夏がラストチャンスかも?…と、カレンダーを眺めながら考えております。
とは言え、会社を起ち上げて以降は週休1日で仕事をしていますし
8月は新番組の準備や、キャンペーンサイトの制作、VTR素材の制作などが既に決定していて、
なかなか時間は取れそうにありません。
一泊二日でいいから、どこか山の中か、海辺の街でブラブラしたいなぁ…。
旅は知らない街や自然を見つめるだけでなく、自分自身を見つめることが出来る貴重な機会ですよね。
で、きょう7月20日。
旅にまつわる一冊の本が、河出書房新社から発売されました。
「途中下車 パニック障害になって。息子との旅と、再生の記録」と題されたこの本を上梓したのは
商品ジャーナリストの北村 森さんです。
順風満帆で、誰からも精力的な強い人…と思われていた北村さんが
パニック障害を患い、41歳で退職。
病気と戦い、無職の恐怖に苦しみ、仕事一辺倒であったが故に家族との向き合いにも戸惑い
それらを克服するために旅をして、考えて、自身と家族を見つめた記録です。
北村さんと僕が初めてお会いしたのは、おそらくパニック障害を患う直前。
そして一番苦しんでいる最中に、一緒に番組を作っていました。
番組収録の時も、一緒に飲んでいた時も、そして退職を伝えられた時でさえ
北村さんが懊悩していることを、僕は微塵も感じ取ることが出来ませんでした。
僕自身32歳の時にうつ病を患い、一年半の間、地獄のような時間を過ごしていて
働くひとのこころの問題には敏感だったつもりでしたが
北村さんはついぞ誰に知られること無く、この本が世に出るまで隠し通しました。
そこに至った心境やその間の苦しみも、本書に詳しく描かれています。
あの頃の北村さんの表情や言葉を思い出し、
なんらの力になれなかったと、苦しい気持ちで途中まで読んでいました。
しかし、息子さんとの各地への旅を通じて
行きつ戻りつしながらも、次第に自分と家族を取り戻していくその様は
同じ世代の男として、とても胸に迫るものでした。
30代中盤から40代にかけての時期は
これまでに培ったものを振り返り、これからの残された時間を初めて意識する頃だと思います。
一方で仕事や家庭など、様々な社会に関わるひとりとして
若い頃のように身軽に動くことが出来ないことに気付き、息苦しさを覚える頃だと思います。
そんな、朱夏の終わりが見えてきた僕らと
そんな男たちと暮らす女性たちに、ぜひ読んで頂きたいと思います。
この本は、北村さんの貴重な体験の記録ではありますが
一方で、非常に魅力的な旅の描写に溢れています。
立山、京都、由布院、沖縄などの旅が、瑞々しく描かれています。
その点でもお勧めです。
この本を読んだら、きっと旅に出たくなるでしょう。
あー、旅にでたいなぁ!
取り敢えず「いったん最後の一人旅」を、自分の眼とこころと記憶に焼き付けて
いつかその魅力を、子どもに伝えながら、一緒に旅がしたいな…なんて思っています。