イメージってなんだろね。

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このブログでAKBネタを扱うとは自分でも意外(笑)

さて、巷で話題の「江口愛実」騒動。
江崎グリコの「アイスの実」の広告に、突然現れたAKB48の新メンバー・江口愛実という女の子が
実は既存メンバーのパーツを集めたCGだったということで、それに批判が集まっているとか居ないとか。
この記事を読んで、Twitterに「(CGだからって)怒るという感覚が理解出来ない」と書いたところ
TwitterやFacebookに色々なご意見を頂き、大変興味深く拝読しました。
で、その中である方が仰っていたのが
「アイドルに限らず、信じていたり憧れだったりする人が嘘だったり裏切られたりされたと解ったとき
平常心で居られることのほうが難しいです。」

…という内容。
これに対して僕は
「自分の抱いていた印象との齟齬が怒りに変わる、というのは確かに僕もありますが…
リアルの人間関係限定で。」とお返事しました。
ただその後、ちょっと待てよ、と自分の考えにブレーキをかけたのです。
リアルだろうがTV越しであろうが、「(自分が抱いていた)イメージと違う!」っていうのは
やっぱり「印象の受け手」の勝手かなぁ、と。
で、そこからイメージ(この場合は印象という意味で)について考えてみました。
そうすると、どんどん自分の中の考えが展開していったのです。
イメージというのは「送り手」「受け手」双方に存在します。
こんな風に見られたい、こんな印象を与えたい、と思う自己演出が送り手のイメージで
そのイメージを基に、送り手の存在を自分の中で一定の位置に置くのが受け手のイメージ。
ただそれは、往々にして齟齬が生じやすい。
何故ならイメージとは、送り手・受け手ともに自身の物差しで設計し、出力しているものだから。
で、その物差しとは決して絶対不変の尺度ではないんですよね。
例えば僕は、初対面の人だけでなく、あらゆる人に対して自己演出をかけて出力しています。
でもそれは、相対する人によって少しずつファインチューニングされています。
それによって、それぞれと良好な人間関係を築きたいと願っている訳です。
それは相手も多かれ少なかれ、同じなのかなと思います。
円滑な人間関係を望む人にとって、それは悪意ではなく、単なる「手法」なのでしょう。
ただその演出したイメージに、文法的な破綻が生じると、相手を失望させてしまう。
これに対して「勝手にイメージを作りあげたのはあんたでしょ」とはやはり言い辛いですよね。
だったらその振り幅を持たせてイメージを出力すべきだったのだろうから。
AKBの件について、とても参考になった意見に
「まあハナっから『会いに行けるアイドル』っていうコンセプトで火をつけておきながら、
会えないアイドルを作るのは裏切り行為でしょう。アイドルに対する距離感のなさを
最初から商売にしていたわけだから。」

…というものがあって、確かになァ、なんて思ったのです。
ベースとなるコンセプトが破綻すると、不信や怒りを買ってしまう。
イメージ戦略の一番の危険性って、その「コンセプトのブレ」にあるんでしょうね。
例えそれが嘘であったとしても、コンセプトが破綻しない間は、イメージは共有できると思うのです。
僕はある点について、人間不信が強い傾向があるので
人によっては「これこれこう云うことだけはしないでくれろ」と強くお願いすることがあります。
そしてそれが為されてしまうと、もう相手との信頼関係を維持できなくなる。
これは相手のイメージに信頼は置けないけれど、それでもイメージを維持する(したい)ために
保険をかけているのでしょう。
僕も結構歳ですから(笑)相手のあるイメージに全幅の信頼を置くほどナイーブではないものの
(ちょっと云い方が悪いですね。「イメージにも振り幅を持たせられる」の方が正しいでしょうか。)
それが破綻することを受容するのはまだ難しいということなのではないかと考えています。
人間関係にコンセプトなんているかぁ?…と感じる方も多いと思いますが
多分僕らは、必ず相手に対してなんらかのコンセプトに基づいて自己演出していると思います。
そのブレが少ない人ほど、強い人(或いは他者からの評価を気にしない人)なのではないかと。
で、ブレ幅が多い人は、「内在する自我」よりも
「他者のイメージを集積する自我」が強いのではないでしょうか。
ただ、後者は文法的破綻のリスクが大きいと考えます。
簡単に言うと、「ボロが出る」ということですね。
人間関係というのは年を経るごとに拡大していきますから、
ブレ幅が大きいとイメージの収束を維持するのが難しくなりますよね。
事実、美しい言葉で素晴らしい内容を話す人が、実体はそうでもなかった…なんてことも
経験的にありました。
大いなる自省を込めて、このイメージという面妖な存在をもう少し考えてみたいと思います。