CMレビュー(12年6月編)

さて、今回は久し振りに広告の話題。
最近印象に残ったCFが幾つかありましたのでご紹介します。
<1.JR東日本「新幹線YEAR2012」90秒>


公式サイトはこちら

JR東日本管内の各新幹線がアニバーサリーイヤーということで
現在放送されているCFです。TVでは30秒Ver.が多いですが、ここでは90秒Ver.を。
様々なスナップ写真で構成することで、誰もが持っている「新幹線の記憶」を想起させる
このCFは、新幹線への特別な想いを訴求するという点でとても素敵だと思います。
(まあ、僕が鉄だからかもしれませんが)
遊助が歌うBGMは、JR20周年のCFで使われたケツメイシの「トレイン」に似過ぎな気もしますが
CFのイメージにはよく似合っていると思います。
この手のCFの時のJR東日本の演出方針は、ずっと一貫していますね。
新幹線は、感性訴求が販促につながるという点では
もっと多様な演出の視点があってもいいかもしれません。とは言え個人的には大好きな演出。
1分23秒からの映像がとても好きです。
<2.丸永製菓「白くまTVCM/くま吉くん編」15秒>
こちらは公式サイトからご覧下さい
これ、広告業界の人には大ウケなのではないでしょうか?
くま吉くんの台詞は、完全にマーケティング担当の言葉の引き写しだと思うのです(笑)
ただ、この感想はあくまで僕が広告人だから抱く感想であって、
広告本来の機能から考えると、ターゲットをどこに設定しているのかだとか
難解な用語で商品の魅力が訴求しきれていない、などの問題点があると思います。
80年代終盤の「ギョーカイブーム」の頃なら、また違った評価になるかもしれませんね。
商品の売れ行きを考えない立場なら楽しめる作品ですが、
仕事としては敬遠する手法です。
<3.家庭教師のトライ「教えてトライさん(オープニング篇)」15秒×2種>
こちらも公式サイトからご覧下さい
家庭教師のトライは、以前「特捜最前線」の吹き替えCFを使っていましたね。
社長のお父さんの代表作を使ったCFということで、一体誰を向いて作ってるんだ!という印象があり
僕は大嫌いだったのですが、今回のCFは多少マシになったかなという感じ。
「アルプスの少女ハイジ」のオープニングは、親子双方にリーチ出来る素材でしょう。
唄と併せたオチも分かりやすく、最終的に「勉強を教えるのはプロにお任せ」となっています。
ただこれも、広告効果をどれほど獲得できるかと考えると若干の疑問符が。
「笑えるCF」が、広告主の商品やサービスへの興味関心を掻き立てることに失敗する事例は
たくさんありますよね。これがその状態に陥る可能性は残念ながら高いかもしれません。
いずれも非常によく考えられた(…いや、丸永製菓は考えてないかもしれん。笑)演出ですが
「印象に残ること」と「商品への興味を持たせること」に充分な関連を持たせるのは難しいですね。
この文を書きながら、それを強く感じました。
僕はTVCFは余り作りませんが、いま構想を練っているものがひとつあるので
広告としてきちんと機能するものを作ろうと思いました。