「巨人・大鵬・卵焼き」は遠く。

ロンドン五輪まであと10日というのに、一向に盛り上がっていない気がする。
実際広告業界を観てみると、オリンピックイヤーであるにも関わらず
売上が劇的に向上している気配は無い。僕の前職は記者の特派を行わないそうだ。
民放連のラジオ統一企画も、オンエアには触れるものの印象に残るほどではない。
それは当然、景気の動向が最大の原因だと思うが
メディアによるスポーツコンテンツの拡大が直接的には影響しているのかなと考えた。
かつては巨人戦を中心としたプロ野球と高校野球、そして大相撲が絶対的な王道だったのが
バブル期以降、メディアの俎上に乗るスポーツコンテンツは一気に拡大した。
サッカー、格闘技、モータースポーツ、バレーボール、卓球、陸上競技、スケートなどなど。
僕が業務で参加した世界水泳選手権なども華々しかった。
あらゆる競技で(メディア的な視点での)コンテンツ開発が進み、目にする機会が増えた。
僕らは野球や相撲以外にも、ドラマティックで熱い興奮があることを知ったと思う。
沢山のヒーロー・ヒロインが発掘され、人気を集めた。
いま41歳の僕が10歳だった80年ごろは、
フェンシングや体操、卓球やハンマー投げの選手がTVCFで活躍するなんて夢にも思わなかっただろう。
ただ結果として、そのコンテンツ開発は
一般の興味の拡散・細分化を招き、或いは各競技の一番面白いものをザッピングするような
そんな観戦態様を定着させたような気がする。
それは90年代後半からのネット文化の発展と非常に似ている。
スポーツコンテンツは、Push型ではなくPull型の特性を示すようになったと云えないだろうか。
とは言えプロスポーツは、「ほどほどの露出」では広告媒体として機能できないし
(プロ野球に限らず、日本のプロスポーツは企業の広告費への依存度が高めだ)
その主軸となるべき興行だけで利益を上げ、成長を持続することはできない。
プロ野球独立リーグやプロバスケリーグの選手たちは、実際には競技だけで食べることは出来ないし
格闘技は再びマニアのものとなり、F1は地上波で観ることが出来なくなった。
接触者の総数と、その可処分時間/コストは劇的には増えないのだから
コンテンツが増えるぶん、それぞれに集まる人やカネは少なくなっていく。
まして世界各地で日本人選手が活躍すれば、海外の競技までコンテンダーになっていく。
この傾向は、まさにメディアの状況と歩調を合わせたもので、
景気の拡大や技術の進歩によって、メディア市場でのプレイヤーが増加したことが大きいだろう。
4マスなどという言葉は既に死語になり、電波も紙もネットも、大小様々なメディア企業がひしめいている。
「キラーコンテンツ」がそれぞれの命運を握っているが故に
スポーツだけではなく、音楽や芸能、芸術などの各領域で「乱獲」が行われ
素人同然(…というか、まんま素人が活躍することも多い)の「一次発信者」までが
駆り出される場面が増えている。これじゃ本末転倒だ。
一方、その総数や可処分コストに限界があるのは
メディア事業を成立させるもう一方の要素である広告主でも同じことで
「ロングテール」などという言葉とともに、各メディアの収益性は希薄化している。
まして消費動向が長く低迷すれば、広告主も漫然とコストは懸けられない。
この、消費者側と広告主側の数的な限界を軽視したことが
昨今のメディア不況の一番の原因ではないか。
Webのようなプラットフォーム(或いはそれで一定以上代替できてしまう多くのメディア)では
スケールメリットが活かしにくいし
コンテンツの一次発信者が、直接消費者にコンタクトすることも容易になった。
相対的に既存メディアのプレゼンスは低下し続けている。
このような状況で、苦境に喘ぐメディアがどう戦うかというのは
それぞれの冷静な自己分析と対策が為されないと見えてこないと思う。
ただそれは、やはりコンテンツの精度向上と、それに伴うメディアのプレゼンス向上が
主となるべきで、「新しいメディアを更に増やそう」という方向では無いと思う。
これ以上コンテンツと広告費の希薄化を進めて、本当に収益は上がるんだろうか。
莫大な資本投下に対するリターンは得られるのだろうか。
ブルーオーシャンという言葉は、こと国内のメディア事業においては存在しないのではないか。
それ故に、今日(7月17日)の日経夕刊1面を飾った
デジタルラジオ 2014年度に …設備投資、最大1000億円」という見出しは
この世界で20年近く働いてきた一人として、不安を覚えてしまう。
個人的には、メディア市場にはレッドオーシャンしか広がっていないことを確認し
そこでラジオが勝ち抜くために、コンテンツの質的向上を図った上で
類似するメディアを駆逐していくのが一番の早道ではないかと考えている。
「やっぱりラジオだよね」と、消費者にも広告主にも思わせて
他メディアへの流出を最小限に抑え、新規顧客の流入を図るべきなのではないか。
Pull型の時代に、選ばれるメディアを目指さずして
取り敢えず「的」をふたつに増やそうという考えは危険だと感じる。

Hands-on

今日、仕事でお付き合いのある「日経ヴェリタス」を読んでいたら
ある企業再生ファンドの上場廃止に関する記事があり、そこから色々調べていた。
企業投資ファンドもベンチャー・キャピタルも、なかなか厳しい時代のようだ。
僕がここ数年、動向を注視している或る企業再生ファンドは「ハンズオン型」なのだが、
彼らのハンズオンとは、どのようなものなのかといつも想像する。
投資先である企業には、それぞれが属する「業界」と、個別の「社風」がある。
MBA的な(或いは市場的な?)ノウハウだけでは、なかなか難しいのではないかと考えている。
そのファンドが、投資先の企業に最初に送りこんだ社長に対して
僕は友人と一緒に、再建提案を持って行ったのだけれど
その社長の業界観や、社風への理解に距離を感じて
こりゃ話が通じないな、と手を引いた。
ファンドは当初、その社長が業界のプロと踏んで起用したのだろうけれど
その世界に棲んでいる僕から観れば、それは残念な人選だったと思う。
その方の力量が不足しているという意味では毛頭なく、
ハンズオンするメンバーとしてはマッチしていないと思ったのだ。
あれから数年が経ち、結果その企業には、ファンドの社長自ら代表取締役として乗り込んでいる。
僕は、これまで二つの放送局に勤務した。
二つ目の放送局を選んだ理由は「キー局であること」と「FM単営局であること」。
これによって僕は、「キー局でもローカル局でも」「AM局でもFM局でも」「単営局でも兼営局でも」
業務経験をさせて貰った。
その上で独立した時点では
業務において「短波局」「インターネット配信」「コミュニティ局」「海外局」の実績を得て、
経営において「従業員から経営者へ」という経験を得た。
また、それぞれのキャリアを通じて「ゼネラリストのスペシャリスト」を目指している。
加えて、ラジオ以外のメディアの仕事にも参加することで、視野を拡げたいと考えている。
なぜこういうキャリアプランを描いているかというと
僕が最初の転職をした2002年の時点で、ラジオという産業がかなり厳しい局面に立っていたから。
ラジオ広告費は、僕がこの業界に入った93年は2,113億あったのだが、転職した02年には1,837億。
そして11年には1,247億まで減っている。(「日本の広告費」/電通
僕がこの業界に入った時には、ラジオ局の倒産なんて想像も出来なかったのに
一昨年には引受先が決まらないまま、名古屋の局が電波を止めてしまった。
だからこそ。そんな時代ゆえに
僕は「スタッフ視点ではなく、マネージャー視点で仕事が出来るようになろう」と考えた。
今はまだ、全く力が及ばないけれど
(それどころか『もうオールドファッションなのでは』と危惧しているのだけれど)
いつか、どこかの放送局にハンズオンしてみたい。
こんな大それたことを考えていると知れたら、
周りの人には笑われるかもしれない、叱られるかもしれない。
でも、この目標は変えたくない。
そうじゃないと、僕は何のために自分の環境を変化させて行ったか解らなくなってしまうから。
ということで
自分の目標の再確認と、将来への挑戦のために
ここでひっそりと、目論見を書いておきます!

新しい全体主義

この記事に違和感を感じたので、思ったことを。
まずリンク先の記事をご一読頂ければ。
田原総一朗氏らが基調対論 ツイッターでジャーナリズム「変わった」(毎日新聞)
僕はこの中にある佐々木俊尚氏の「社会を再結成、再構築する方向に向いている」という
ポジティブな印象に読み取れる分析に、強い違和感を抱いた。
個人的には、最近の「SNS上の社会」(ここは厳密に定義したい)には寧ろ
「ハニカム全体主義」とでも形容すべき、危険な構造が醸成されつつあると分析している。
ハニカム全体主義というのは僕が思いついた造語でしかないんだけれども
80年代、個人向け消費財が進化する過程で発生した、「個人のコクーン化」に、
90年代中盤から始まったIT革命以降の「個の発信」機能が付加されて、
ラウド・マイノリティという存在が看過できない存在になっていることを下敷きにしている。
まあ、何かが起きるとブンブンブンブンと蜂の巣をつついたように姦しくなる
昨今のWeb界隈のメタファーもありつつ…(笑)
Webの匿名性をコクーンの担保として、一方で酷く感情的な言動を個々が発信し、
同じ空気をSNS上で共有すると、それが巨大な感覚の集合体になり、
同調圧力を伴ってWeb社会上を闊歩する。これを蜂の巣構造(ハニカム)の全体主義と名付けてみる。
この傾向は、Webにおける個人レベルの情報発信が
Webサイト→Blog→SNS→Twitterなどのソーシャルメディア…と簡便になるに連れて
次第に強まっていると思う。
リテラシーが決して高くない人びとが参加しやすくなったことが影響しているのではないか。
まだWebがイノベイターやアーリーアダプターのものだった頃は、今のような付和雷同な動きは少なく
寧ろ何でもかんでも議論、議論だったような気がするのだ。
(まあ、それはそれでメンド臭かったりするんだけれども)
ハニカム全体主義は、個の閉鎖性を維持したまま、
意識の集合が巨大化するという、新しい社会性を帯びている。
それを再結成・再構築と指摘するのであれば、佐々木氏の分析は正しいと思うが
僕はそこにポジティブな印象を持つことができない。
感情と、それを集約した「空気」が、SNSのような限定された空間に充填されると
これまで以上に無責任な世論が形成されると思うからだ。
まして、なんとなくソーシャルメディア上での世論が実社会の世論と混同されがちな現在において
その危険性は非常に高いと考える。
僕が度々指摘している「空気のファシズム」は、このハニカム全体主義と同義。
思考が深まらず、感覚や気分だけが飽和して、実体社会に影響し過ぎるのは問題だと思う。
この点において、SNSの功罪は常に考えなければいけないのではないか。
事実、アラブの春を経たチュニジアやエジプトの混乱は
意志の中核や主体を持たない―つまりポスト体制の具体的な絵図を描けない
「烏合の衆革命」の脆弱さを浮き彫りにしていると思うのだ。
そこにあるのは民主主義ではなく、気分の全体主義だ。
この高度情報社会で大事なのは、溢れかえる情報の中で
考え、自分の分析を持ち、その上に自身の意見を構築すること。
SNSに溢れる「気分」を感じることを、考えたと勘違いしがちだがそれは違う。
最近「情報のキュレーター」なんて存在が持て囃されたりしているが
それすら疑ってかかってもいいと、個人的には思っている。

出会いはラジオから。

さて、珍しく連続して音楽に関するエントリーを。
今月、ファーストアルバムをリリースしたSCOTT GOES FORがお気に入りです。


これは「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」のカバーですね。

バンドの来歴とかは取り敢えず置いておいて
(メンバーそれぞれが充分なキャリアを誇っているようなのですが、そもそもよく知らんのです。笑)
アルバムに収録された各曲の素晴らしいメロディラインと、「コード感」が大好物。
上質な「オトナのためのロック」に仕上がっていると思います。
特に、オープニングトラックの「SEVENTEEN」とか、2曲目の「Take Enough Time」などは
聴いているだけでワクワクします。
このSCOTT GOES FOR、仕事中にラジオから「Take Enough Time」が聴こえてきて
そこで気に入って楽曲検索→Amazonで注文…という流れだったのですが
数年前、BEAT CRUSADERSの「FEEL」を聴いた時と同じようなトキメキを覚えました。
こういう風に、知らない楽曲と幸せな邂逅を果たせるのが、ラジオの魅力ですよね。
Webを中心としたPull型のメディアやプラットフォームでは、なかなか出来ないことです。
パソコンやスマートフォンでラジオが楽しめる、radiko.jp
今や全国100のラジオ局の過半が対応しています。勿論無料で聴けますよ。
ちょうど今日から、福井県(福井放送)、島根県・鳥取県(山陰放送)、
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ぜひ皆さん、ラジオでお気に入りの音楽やトピックと出会って下さいね。

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アフリカ進出計画、とか。

これまでにもこのブログで再三宣伝させて頂いているのですが
株式会社SEVENはハワイ州のホノルル市で日本語FM放送「Hawaii101FM」を運営し、
且つそこで制作した番組を、国内のFMラジオ局に販売するなどしています。
僕が放送業界に入った1990年代初頭は、海外制作や中継は大事業で
凄まじいコストと綿密な準備、大規模な設備が必要でした。
僕が在籍していた九州朝日放送は、業界ではそれなりに規模のある放送局でしたが
それでも海外制作なんて、年に数本しかなかったのではないでしょうか。
ところがIT革命のおかげで、今や海外制作は大して難しいものでは無くなっています。
Twitterで現地のDJやスタッフを募集し、SkypeやFacetimeで面接や打ち合わせをして、
現地の放送局とメールで交渉し、FTPサーバで番組データの遣り取りをする。
否、今やそのFTPサーバすら、Dropboxに置き換えられつつあります。
弊社制作番組「Aloha Weekend」の第2代DJのジューンは、出演契約交渉から卒業までの間、
リアルで会ったことはありませんでした(笑)
番組の制作コストも国内とほぼ変わらず、寧ろ昨今の円高状況で低廉化傾向にあります。
一番痛いのは、銀行の国際送金手数料だったりします。
で、最近iPhoneアプリのTuneIn Radio(これ、Android用もありました)で
アフリカのFMラジオを聴くのがマイブームなのですが
楽しんでいるうちに「うちからアフリカとか南米とか中東とかのラジオ局に、
日本語のラジオ番組を供給できないだろうか?」と考え始めました。
そりゃ言葉の壁とかはありますが、事業構造は福岡やハワイのラジオ局との遣り取りと変わらない。
まあ向こうも僕の英語くらいは理解できるだろうから、お互いに番組を交換するような遊び方は
出来るのではないかと思っています。
それが商売になるのか、と云えば「どーかなー…?」という感じなのですが
「株式会社SEVENは、日米だけでなく、コンゴやブルキナファソやレソトや赤道ギニアに
番組を供給しています!」なんて言うことが出来れば、宣伝としては面白いのかな、なんて。
日本のビジネスマンなどは世界中あらゆる国にいらっしゃいますから、
そんな人達から番組のご感想やリクエストを頂けたりしたら、これまた幸せだな、とか
途方もなく遠くのアフリカの人が、うちの番組で日本語を勉強したりとか…
そんな光景を妄想しています。
とりあえずパイロット版を作ってみて、適当に各国のラジオ局に声をかけてみようかな?
だとしたら、別にそれはアフリカとかアジアに限らず、世界中どこでもいいんだよな。
最近は業務多忙につき、即行動に移すことは難しいのですが、
その分時間をかけて構想を練ってみたいと思います。
ITの功罪は色いろあるのですが
ことラジオ屋の僕には、面白く、好奇心を刺激されることが多いようです。

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目下のお気に入りはアフリカ全土で聴ける(と思われる)「La Radio Africaine」。
これは赤道ギニアでの放送を聴取しています。

クラウドとソーシャル。

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今回購入したのはLenovoのThinkpad。Thinkapadは久し振りに購入。

自宅用のPCが壊れたので、今回はCore i5を搭載したThinkpadを購入しました。
これまで番組の編集など、マシンパワーが必要な作業は会社のデスクトップでしか出来なかったので
買い替えを機に、自宅でも作業出来る環境を整備しようと思ったのです。
いま使っているマシンの中ではダントツにハイスペックなので、作業がとても楽です。
独立して以来、ノマドワーキングの重要性を感じて
比較的早い段階から機材を揃えてきたのですが、
特に最近DropboxEvernote、そしてGoogle Chromeなどのツールによって劇的に進化しています。
更にiPhoneを導入したことで、電車の中などでもシームレスに作業が継続出来るのは嬉しいですね。
(その分、移動中だろうが寝床の中だろうが、いつでも仕事をしてる感もありますが…)
また、イーモバイルの端末をPocket Wi-Fiに切り替えたことで、大容量ファイルを外出中に扱えます。
また様々なサービスによって、業務の地理的制約が殆ど無くなっていることも重要です。
例えば今週は、Aloha Weekendの新DJ募集をTwitter上で行い、応募者の面接をSkypeで実施。
(ホノルルで制作しているAloha WeekendのDJは、当然ホノルル在住者です。)
一方、この番組のパートナーであるホスピタブル社の松清社長を韓国出張中に捕まえて
これまたSkypeで打ち合わせをする…という感じです。
将来的には、移動時間を確保できない場合の会議参加などもSkypeやFacetimeで可能になるでしょう。
ソーシャルメディアに目を向けると、先述の通り海外でのオーディション参加者を
Twitterで募集するようなことが出来ますし、Facebookでお仕事の依頼を頂くことも増えました。
また、Twitterによる消費者とのコミュニケーション活動を受託するなどもしています。
最近お客様にご提案する企画の中に、ソーシャル系のそれが含まれないことは殆どありません。
それだけソーシャルメディアが浸透し、活用しやすい環境になっているのでしょう。
株式会社SEVENのように、人的・資金的リソースが小さい会社の場合、
これらのサービスを如何に活用して成長を遂げるかがとても大事な要因になってきます。
スタッフ個々人の生産性を極大化しコストパフォーマンスを向上させていけば、それだけ利益率が上がります。
最近痛感しているのですが、弊社くらいの規模で、かつ生産しているものがソフトウェアである会社は
「維持する」は「縮退する」と同義です。防衛的(或いは現状維持的)な業務のみで運営を考えると、
案件ごとの環境変化(それはコストダウンを背景としがちです)や、コンテンダーとの価格競争で
想像以上に目減りしてしまうんですね。
売り上げ的にも、業容的にも、成長を続けなければ潰れてしまうのです。
中小企業が有限のリソースを前提として拡大を図るには
クラウドとソーシャルを活用して、時間的・地理的・人員的・資金的な効率化は必須です。
「俺はトシだから、そういうのには疎いんだよな」では、座して死を待つようなものです。
新しい収益の道筋も、これらクラウドやソーシャルによって生み出せる可能性があります。
固くなってきた脳味噌と闘いながら、会社の「未来」を頑張って探していこうと思っています。

【提言】今こそアナログラジオを。

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いま僕が自宅で使っているラジオ。オーム電機のRAD-S311N。
AM/FMに加え、SW(短波放送)も聴けます。これをエネループで稼動させています。

さて、今回の震災で一番重要な情報のひとつは「緊急地震速報」です。
地震の初期微動(P波)を検知し、主要動(S波)が到達する前に警戒を促すこの速報は
テレビ・ラジオ全局に加え、一部の携帯電話やインターネットでも取得することができます。
ただこの緊急地震速報、地上デジタルテレビ放送―つまり「地デジTV」では
受信が遅れることをご存知でしょうか?こちらの引用をご覧下さい。

地デジの緊急地震速報、遅れ解消へ 在京各局が新システム運用開始
日本新聞協会 2010年8月23日配信より引用
地上デジタルテレビ放送の緊急地震速報がアナログ放送より遅れる問題を解消するため、
NHKと在京民放キー局は8月23日、地震発生地や予測震度などを地図で表示する前に、
「緊急地震速報」というスーパーとチャイム音を流すシステムの運用を開始した。
総務省が放送各局に対し、速報の迅速化を求めていた。
 NHKによると、デジタル放送の緊急地震速報はアナログ放送より約1.6-3.3秒遅れる。
今回導入するスーパーは、難聴者向け字幕放送と同じ信号を使う。
従来より約1.0-2.5秒早くなる。ワンセグ放送には対応しない。
 NHKは同日、東京タワーからの電波を受信できる地域と27の放送局で運用を始めた。
10月末までに全国での実施を目指す。

この記事で注意して頂きたい点が2つあります。
まず、「対策が施される前の地デジの緊急地震速報は、アナログより約1.6-3.3秒遅れる」点。
そして「改善後の地デジの緊急地震速報は、約1.0-2.5秒早くなる。ワンセグ放送には対応しない」点。
つまり対策が施された後でさえ、地デジの緊急地震速報はアナログTVより約0.6-0.8秒遅れる訳です。
しかも携帯電話などのワンセグ放送は、更に遅れる訳です。
ものすごく簡単にご説明すると、地デジTVでは番組を電波に乗せるに当たって
放送をあるデータフォーマットに処理(エンコード)して、端末(TV受像機)で
それを復号(デコード)します。
このエンコード-デコードの両方の処理の時間分、速報表示が遅れる訳なんですね。
もともと今年7月24日には、現行のアナログテレビ放送を完全に休止
地デジ放送に一本化される予定だったのですが、東日本大震災の被災地である岩手・宮城・福島では
最大一年程度、地デジへの完全移行が延期されることになったそうです。
(参考:<地デジ>3県の移行延期を発表 岩手、宮城、福島 (毎日新聞)
ただ今回の震災で、地デジテレビの弱点である「速報の遅れ」は非常に気になるものでした。
これは被災3県の問題ではなく、今回の震災の影響を受けていない地域も含めた全国的な問題です。
既にこのブログで何回か書いていますが、僕はPCのブラウザ・Google Chromeに
緊急地震速報エクステンションというアプリケーションをインストールしています。
これと地デジTVを比較すると、体感的・経験的に9割以上Chromeの方が速く速報するのです。
しかもこちらは、震源地・予想震度・予想マグニチュードを表示します。
この3週間ほどは、Chromeで緊急地震速報を確認→TVで確認という流れが当たり前になっています。
(勿論これは、インターネットへの接続環境により大きく変わってくるものであることにご注意下さい。
僕の会社及び自宅は、共に光ファイバー接続で、ベストエフォートで100Mb/sの速度です。)
体感速度では、短くて0.5秒、長いと2秒以上の差があります。
「なんだ。たった2秒か」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかしこの1・2秒の時間が、一刻を争う事態では極めて重いものとなります。
実際、僕が自宅でこのような状況に遭遇すると、例えばリビングに寝そべっていたとしても
1秒程度で立ち上がり、次の1秒で携帯電話と財布を探すことが出来ます。
その上で、TVの緊急地震速報が鳴った時にはセイフティルームである寝室に向かい始めているのです。
例えば震源から自分の居る場所までの距離が50kmあったと仮定して
P波(秒速約7km)とS波(同約4km)の伝播速度の差を考慮すると、
震源地でP波発生の10秒後に緊急地震速報が鳴った場合
1.P波が自分の位置に到達するまで…7.14秒後
2.緊急地震速報を受信…10秒後(P波到達2.86秒後)
3.主要動(S波)が自分の位置に到達するまで…16.67秒後(緊急地震速報受信後6.67秒)

…という計算になります。(非常に大雑把です。間違っていたらご指摘下さい。)
※東日本大震災の際は、P波発生から一般向け緊急地震速報まで8.6秒かかっています
この僅か6.67秒しかない対応時間が、地デジによって1秒遅れたら猶予は5.67秒。
この差は大変大きいと、僕はこの数週間の実体験で痛感しています。
まして、震源との距離が極めて小さい直下型地震の場合はどうなるでしょう?
とは言え、有限の資源である電波をより効率的に使うために地デジは整備されたもの。
エコポイント制度などを使ってまで、国策でアナログからデジタルへの転換を進めてきたのですから
今更「デジ・アナ並存」というのは本末転倒な話しですし、放送局はその負担に耐えられないでしょう。
そうすると、「アナログ波で高速に・広汎に緊急地震速報を伝えることが出来るメディア」は
ほぼ現行のラジオ放送だけになる
ということになります。
携帯電話やインターネットも、通信回線を利用しているため、放送のように
無限の接続(受信)は出来ないんですね。通信トラフィックが急に増大すると、繋がりにくくなるのは
みなさんもよくご存知だと思います。「輻輳(ふくそう)」という現象です。
放送は一方的に電波を送っているだけなので、この輻輳は発生しません。
僕は地震学者ではありませんので何ら確たることは言えませんが
太平洋プレートでの大規模な地殻変動は、隣接する北米・ユーラシア・フィリピン海の各プレートに
通常よりも大きな応力を懸けているのではないでしょうか。
その意味で、今後東海・東南海・南海地震の発生に充分注意が必要ではないでしょうか。
その時、皆さんの生命や財産を守るのは、アナログラジオ1台かもしれないのです。
アナログラジオの受信機は、一台1,000円も出せばそれなりのものが買えます。
AMであれば、スピーカーで鳴らしても、単3乾電池一本でそれなりの時間聴けるはずです。
皆さん、どうか今のうちにラジオを一台用意して、日常的に聴くようにして下さい。
TVと違い、仕事をしながらでも聴くことが出来ます。BGM程度に無意識に鳴らしておくだけでも
緊急地震速報のあのチャイムが鳴れば、瞬時に気づくことが出来るはずです。
ラジオマンとして、皆さんの安全のために、強く強く提言差し上げます。
そして可能であれば、全国のラジオ局の皆さんがこの状況にいち早く気付いて
全国的にラジオの普及と、日常聴取を強く・大きく呼びかけて欲しいと願います。
私たちラジオ業界人ができることは、災害発生後だけでは無いのです。
どうか宜しくお願い致します。

Keep Cool

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震災発生直後の弊社事務所と、節電により暗い木曜19時の青山通り。
もちろん今は事務所も綺麗に片付いています。

まず、今回の東北太平洋沖大地震により失われた多数の命に対し、そのご冥福をお祈りし
被災者の皆様の一刻も早い安全・安心の確保と、被災地の復興をお祈りいたします。
さて、東北太平洋沖大地震が発生して以降2回目の週末を迎えました。
会社的には、事務所は物が引っくり返って滅茶苦茶になりましたが、幸い人的被害は無く
翌日から業務を再開しています。業務案件の延期や中止による減収は厳しい水準ですが
現時点での試算ではなんとかなりそうですし、東京商工会議所さんなどが支援する旨
ご連絡を下さっています。
(中小企業の皆さん、震災に起因する資金繰りなどの問題は商工会に相談されることを
お勧めします。弊社もそうですが、会議所の会員である必要はありません。)
個人的には、自宅はウクレレと写真立てが引っくり返った以外は被害なし。
計画停電や物不足、ガソリン不足などは確かにありますが
被災地の方々のご苦難を思えば、そんなものは取るに足らない些事です。
既に英会話やウォーキングも再開し、仕事の締切を気にする毎日に戻っています。
ご心配頂いた方々、ありがとうございました。
そんな中、いまとても気になっているのが「怪情報の流布」についてです。
これについては、Twitterで書いたものを補筆・再編集して下記に記します。
最近僕の周りにも、チェーンメールや怪しげな情報に強く反応し、
大掛かりな行動を取ってしまう人が居ます。
残念ながら、どれだけ「その情報はヘンだよ」と指摘しても
次から次に新しい怪情報を仕入れてくるので、僕は途中から彼へのアドバイスを止めました。
最初彼がチェーンメールを回してきた時、その情報が誤っていることを
報道記事を引用して返信したのですが、彼は自分がチェーンメールを送った人に対して
「さっきの情報は間違っていた。証拠はこの記事。で、一方こういう情報があります…」と
情報修正のメールに、また別の怪しげな情報がくっついている始末だったのです。
確かに政府や東電などの関係諸機関が、全ての情報を公表しているかは分かりません。
ただその様子を拡大解釈し、政府やマスコミは事実を隠蔽している!と判断し、
本来彼らより遥かに信用度が劣る出所の怪しげな情報を信じてしまうのは非常に危険ですし、
驚くべきことです。
僕が今日までに得た怪情報は、軒並み尤もらしい「出所」が付いています。
曰く某大手新聞社の人。某大企業の社長。某官庁などなど…
じゃあ、その新聞社の人や企業の社長から直接話を聴いたのか、というとそうではなく
全て伝聞なのです。でもそこに信憑性を預託する人のなんと多いことか。
冷静に考えれば、その矛盾した思考に気付くはずなのですが、
この非常時…特に恐怖が伴う状態では、そうなるのも或る意味首肯できます。
彼らは良かれと思って怪情報を流布し、行動してしまう。
その根源に悪意はなく、それ故に心苦しい気持ちがします。
また怪情報に反応する人の多くは、それが煽る恐怖の根源について殆ど調べ物をしていない
傾向を感じます。ある怪情報には、原発のメルトダウンの可能性が80%…という記述が
ありますが、そもそもメルトダウンという状態は何を指すのか。放射線とはどんなものか。
それを調べないんですね。
別にプロ並みの勉強をしなくても、日本原子力学会日本放射線技術学会などが出している
一般向け解説を読むだけでもいい。それだけで過剰な恐怖は無用(勿論しかるべき用心や
対策は必要ですが)と分かるのです。
でもそれは調べずに、根拠不明の情報に引き摺られてしまう。とても残念です。
(ただこれに関しては、僕も「安心したい」との想いから、根拠不明の情報を
ツイートするなどしたので、大いに自省・自制が必要であると考えています。)
今朝、僕のごく親しい人物が西に疎開しました。その根拠が書かれたメールを見て、
Webの発達が齎した「玉石混交の情報の瞬時の伝播」の怖さと
「正しい情報、信頼できる情報を探すリテラシー」の大切さを感じています。
でもそれは、既に怪情報の虜である彼には伝わらないのです。
僕は彼の疎開を否定はしません。行動自体はより安全な方策ではあるからです。
ただそれが、量的な飽和…つまり多数の人々によるパニックにならないことを祈っています。
正しい情報を得る努力を前提として、いま数多流通する怪情報と向き合って欲しいと
思います。
家族を守るため、自分を守るため、恐怖感を持って慎重に行動することは大切です。
ただその恐怖はコントロールできなければいけません。
適度な緊張や恐怖は、能動的な対処を促し、必要充分な対策の原動力になると思いますが
恐怖に乗っ取られてしまうと、過剰且つ不要な行動になってしまうような気がします。
これは、いま首都圏で繰り広げられている買占め騒動と同じことかもしれませんね。
少なくとも首都圏はそこまで危険な状態ではない、と僕は考えています。
そこでパニックになるよりも、本当の被災地である東北の人々に、充分な救援物資と
暖かく、安心して休息できる場所を提供することの方が遥かに大切です。
皆さん、冷静に考え、正しい情報を集め、適切に行動できるように一緒に頑張りましょう。

最後に、希望を感じる歌をひとつご紹介します。
歌詞はこちらです。
皆さん、どんなに暗い夜にも、必ず夜明けは来ます。
春も、もうそこまで来ていますよ。
【以下はまったくの余談】

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思い入れって難しい。

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さて、今ある企画書を書いているのですが、これが随分難産になっています。
ネタが無いのではなく、考えが溢れだして、統制がとれないんですね。
内容は、地震に関する防災と生活再建についてのもの。
普段の仕事と違い、個人的に極めて思い入れが強くて
すっきりした企画にならないのです。うーん。
以前にも書いたかもしれませんが、僕は1995年の2月3日。
阪神・淡路大震災の発生からおよそ半月後に神戸に入りました。
大阪からJRで西に向かったのですが、武庫川を越えた途端にブルーシートを懸けた屋根が目立ち
代替バスの発車地である住吉に着いた時は、既に茫然としていました。
住吉の電柱に貼ってあった「見物客は帰れ」のメモ書き。
三宮駅前の歩道橋から眺めた想像を絶する光景。
その歩道橋の、携帯電話や工務店のビラに紛れていた「この震災は天罰」という宗教団体のアジビラ。
全てのガラス窓が破れた神戸新聞社と、その後ろを通るポートライナーの寸断された高架。
潰れた生田神社。落ちた阪神高速のランプウェイ。
三宮発のバスに乗る為に、物資を抱えて並ぶ数千人の人々。
そして最も衝撃だった、新長田駅から見た一面の焼け野が原…。
その後、福岡空港でのガルーダ・インドネシア航空機の離陸失敗事故
新潟の中越地震などの現場にも立ちましたが、あの時感じた衝撃と恐怖に勝るものはありません。
写真も録音も無いのに、16年前の景色をありありと思い出します。
あの年の秋、ある大企業に震災被災者救援の為の企画を提案したのですが
「この企画を実施するには、全社員がその重みを理解しなければならない」という理由で通らず。
僕の何か出来ないか、この企画で被災者の方々に手助けできないか、という必死の願いと
自社の事業所も大きな打撃を受け、複数の社員の方が亡くなったという事情を抱え、
それを軽々にひとつの広告企画として受け止めてはいけないという提案先の気持ちは
おそらく同じものであったと思うものの、当時は物凄く辛かったことを覚えています。
それ以降、数年に及んだ神戸での「定点観測」や、
中越地震の現場で調査を行った、メディアの大災害現場での機能事例とその分析などを経て
未だに自分の中で、ラジオマンとして出来ることを考え続けています。
時に自分が目指すべき方向性が分からなくなりかけた時は、当時の企画書を引っ張り出して
自分の指針にしています。
今回、ふとしたきっかけから前述の企画を提案する機会を得て
今度こそは自分の想いと、自分の会社が出来る社会への貢献を果たすものとして
何とか決めたい!と意気込んでいるのですが、その気持ちが空転気味なんですね。
どんなに高尚な理念を持っていても、それが具現しなければ意味はありません。
また、折角16年もずっと考え続けてきたテーマだからこそ、無駄にはしたくない。
ここをラジオのプロフェッショナルとして、どう整合させるか、自分のこれまでの経験が試されます。
私たち人間のひとりひとりが出来ることには限界があります。
しかし、メディアビジネスに携わる者の大きな利点として、沢山の人々に
防災の大切さと、罹災時の互助、生活再建の為の知恵を知って頂けるように
精一杯頑張りたいと思います。
あの日の、神戸での誓いがいつか形にできるように
諦めずに、自分の仕事の大切なテーマとして挑み続けたいと思います。
さあ、頑張るぞ!

注目されるという重要性。

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メディアは自身の価値に敏感であるべきですね。

さて、今日は「週刊 日経トレンディ」年に一度のロケ収録。
ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた、日経トレンディ12月号の恒例企画
「2010年ヒット商品ベスト30」及び「2011年ヒット予測ランキング」の発表会に行ってきました。
15時の情報解禁とともに、Yahoo!のヘッドラインなどで発表されましたし
各テレビ・新聞などでも報道されるでしょうから、皆さんが目にされる機会は多いと思います。
1987年の日経トレンディ創刊以来続くこの企画は、今や在京テレビ全局が取材に来るほどの存在。
渡辺編集長は発表会のプレゼンテーターを務めた後は各局のインタビュー取材に八面六臂。
僕ら「週刊 日経トレンディ」取材班はかなり待ちぼうけ待機しなければならないほどでした。
この発表会の盛況を眺めながら、二つのことを考えていました。
自戒とその備忘を兼ねて、以下に書き連ねます。
(すごく長いです。ご興味のある方は続きをどうぞ)

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